第20章―ハプニング―

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僕は自分の炎に視線を移した。 炎は赤く燃えている。 じっと見ていたら前の方が騒がしいことに気付いた。 見てみると、本が舞い上がっている。 周りの本も巻き上げている。 まるで小さなハリケーンだ。 次から次へと本やペン、ビンなどを巻き上げていく。 時々巻き上げていた物を周りに吹っ飛ばしている。 僕の顔に本が飛んできたが、ギリギリで交わした。 本は壁にぶつかり床に落ちる。 ジュリアンにはペンが飛んできたが、ジュリアンは余裕でよけた。 ウェインは机の下に身を隠している。 周りの人が話しているのを聞くと、あれは魔力が暴走したらしい。 魔力玉に魔力を注ぎすぎて制御出来なくなったようだ。 ハリケーンの近くの席の人は、みんな頭を庇いながらしゃがんでいる。 何人か本がぶつかったらしく、頭を抱えて倒れていた。 中には床で痛みに悶絶し、転がり回っている人もいる。 離れている人は壁際へ避難していた。 先生は小さなハリケーンへと歩み寄る。 先生のほうにも物は飛んでいくが、全て先生の目の前で落ちる。 まるで見えない壁にぶつかったように。 先生は手を伸ばし、暴走している魔力玉に手のひらをかざす。 すると風はピタリと収まり、巻き込まれた物は床に落ちていった。
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