第20章―ハプニング―

10/12
前へ
/386ページ
次へ
教室の中が静まり返った。 先生はニコニコ笑っている。 「いいですかぁ。気をつけないとこのような事になりますからねぇ」 先生は指をひょいと動かす。 散らかっていたものは全て宙に浮いた。 椅子は元の位置にしまわれる。 本やペンは宙に浮いたままだ。 「自分のものは自分でちゃんと回収して下さいねぇ。でも、まだ風で良かったわぁ。炎で教室中が燃え上がったり、水で溺れたりしなかっただけましねぇ」 先生は笑いながら話す。 生徒たちはみんな青ざめた顔をしていた。 きっと先生が言ったことを想像したのだろう。 実際にそんなことがあったら、生きていられるかわからない状況だから。 僕は炎の属性なので、そんなことを起こさないように心掛けるとしよう。 本やペンが持ち主のところへ戻っていく。 全て持ち主のもとへ戻ると先生はまた話し始める。 「制御が出来ないことはいかに危ないか分かったわねぇ。今回暴走しなかったからといって油断してると、危険だから自惚れないように。 今日は教室が荒れちゃったからこれで終わるけど、くれぐれも魔法を甘く見ないことよぉ。魔法は自分の身を滅ぼしてしまうくらい、強い力なんだからぁ。 じゃあ終わり!」 先生は手を叩く。 生徒たちは本とビンをしまい始める。 先生は教室を出ていき、僕はふぅと息を吐いた。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加