第20章―ハプニング―

11/12
前へ
/386ページ
次へ
「とんだ授業でしたね」 ウェインがローブの埃を払いながら言う。 「まさか魔力を暴走させる人がいるなんて思いませんでしたよ。前回はみんな上手くいっていたので……」 「本当よねぇ。誰かしらね、自惚れた人物は」 これはジュリアンだ。 ジュリアンは溜め息をつく。 「もっと集中したらあんなことにはならないのよぉ」 そう言って人混みを睨みつける。 あの人混みは魔力を暴走させた人を囲むように出来ていた。 きっとみんなに責められているのだろう。 時々罵声が聞こえてくる。 いくら暴走させたからって、あんなに怒らなくても……。 僕はいてもたってもいられなくなり、人混みへと向かった。 ウェインが手を引くが僕は振り払う。 人混みをかき分けてしゃがみこんでいる子の前に立った。 「こんなことは止めろよ」 僕はみんなに向かって言う。 「あれは事故なんだから、この子を責めたって仕方ないだろ」 「そいつのせいでみんな危険に晒されたんだぞ!?」 男の子が叫ぶ。 周りの人もそうだそうだと合いの手を入れる。 「自分の身くらい自分で守れるだろ。何のために魔法を習ってるんだよ」 「じゃあ君は自分を守れるのかい? あの風の近くにいても?」 挑発するような声が聞こえた。 僕は声がしたほうを向く。 奧から金髪の少年が出て来る。 「君なら怪我一つしないって言うのかい?」 少年は僕に歩み寄る。 少年は肩まで伸ばした髪をサッとかき分けた。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加