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先生は靴音を響かせながら歩いていく。
僕は急いで自分の席に着く。
先生は教壇に上がると僕達を見回した。
「これから授業を始める」
先生は低い声で話す。
とても威厳に満ちた声だ。
一気に空気が張り詰めたのがわかる。
「さて、何度も言うように、召喚技術は他の魔法より遥かに危険なものだ」
先生は一人ひとりの顔を確認するように左右に歩く。
「少しでも魔法陣を描くのを失敗すると、魔物に襲われてしまう。少しでも呪文を失敗すると、予想だにしない魔物が現れる。
少しでも油断すると……自分の命が奪われる」
先生は静かに、だがみんなに聞こえるように言う。
何人かが生唾を飲む音が聞こえた。
「だが、召喚技術は使えると強大な力となる。
基礎さえできるものはドラゴンや禁忌の悪魔でさえ使役することが出来るのだから」
先生は中心に戻ると机に手を置く。
「さて、このクラスは初めて会うものがいるようだ。私の名はルシード。
呼び捨てで呼ぶようなことがあれば、私の召喚するゴブリンに喰わせてやろう」
数人が笑うが先生に睨まれ口を閉じる。
きっとルシード先生は本気なのだろう。
それを知っている生徒はクスリとさえ笑わなかった。
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