第21章―召喚魔法―

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「先生」 前の方から声が聞こえた。 ドリューが高々と手を挙げている。 先生はドリューに近付き、魔法陣を見た。 「ほう。良い出来ではないか。皆もこれを見ろ」 先生が指を動かすと、魔法陣が机から離れ空中に浮かんだ。 「この歪みのない線。これを描くのは難しいのだが、ドリューはやってみせた。素晴らしいぞドリュー。それに比べて……」 先生は溜め息をつきながら指を動かす。 すると僕の魔法陣が先生のもとへと飛んでいく。 「この歪んだ円はなんだ。これでは妖精にでさえ襲われてしまいそうだ。魔法陣は召喚したものをその場に押さえつけるために描くものだ。それがこんなに歪んでしまっては……」 先生はわざとらしく溜め息をつく。 ドリューが僕を見てニヤリとする。 僕はムッとなったが、授業中なので気にしないようにした。 「確かファリストの弟子だとか……。私はファリストのように甘くはしないから覚悟するように」 ルシード先生はフンと鼻を鳴らすと、別の机のほうへ移動した。 「ルシード先生はファリスト様が嫌いらしいんです。なんかいざこざがあったらしくて……」 「それって僕に八つ当たりしてるだけじゃないか。子供かよ」 「そうですけど……我慢してください」 僕はウェインを見る。 ウェインは心配そうに僕を見ている。 僕は息を吐くとちゃんと椅子に座った。 先生が魔法陣を僕の机に戻す。 「ちゃんと丁寧に描くんだ。もっと真剣にな」 先生は嫌みったらしく言う。 僕は返事をせずに魔法陣をこすって消した。
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