352人が本棚に入れています
本棚に追加
先生の背中を僕は睨みつけ、それからまた魔法陣を書き直す。
今度は円も図形も丁寧に書いたつもりだ。
文句なんて言わせてたまるか!
先生は教壇にあがると次の説明を始めた。
「では呪文を唱えてもらう。魔法陣に手をかざすんだ」
みんな自分が書いた魔法陣の上に手をかざした。
「魔力を集中させて唱えろ。
世界の狭間から生まれしものよ。世界の混沌から生まれし命よ。我が言の葉の契りにより、この場に姿を現したまえ。出でよ、フェアリー!」
先生が呪文を唱えると魔法陣から光があふれる。
光が消えると、魔法陣の中には一匹の妖精が丸まって浮かんでいた。
妖精の肌は褐色の肌。羽は七色に輝き、透き通っている。
髪は白く、まるで光の線のような髪だった。
妖精は体を起こし、立ち上がる。
羽をパタパタと言わせながら周りを見回す。
先生を見つけると目をじっと見つめていた。
先生はまばたきをせず、妖精を見つめる。
すると妖精は先生に一礼をした。
先生はふぅと息を吐き、僕達に向き直る。
「妖精はとてもプライドが高い。一度目があったら絶対に逸らさないこと。
妖精が一礼したら、その妖精はお前達に従うようになる。さぁやってみろ」
先生のかけ声でみんな一斉に呪文を唱え始めた。
最初のコメントを投稿しよう!