第21章―召喚魔法―

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呪文を唱え終えたところから魔法陣が光る。 光が消えたところから妖精が出現する。 僕の魔法陣も光り、妖精が現れた。 妖精は先生のとは違い、赤い髪をなびかせていた。 肌は雲のように白い肌だ。 目も髪と同じで炎のように赤く、力強い瞳をしていた。 妖精は僕をじっと見つめる。 僕も妖精を見つめた。 妖精は僕に向かってそっと頭を下げる。 たった数秒のことなのだろうが、僕は緊張していたからか数分くらいに感じられた。 僕は息を吐くと妖精を見る。 妖精は羽を羽ばたかせながらクルクルと魔法陣の中を飛び回っていた。 ウェインの妖精は薄い緑の髪をしていて、ジュリアンの妖精は青い髪だ。 人によって出現する妖精が違うらしい。 僕はドリューのほうを見た。 ドリューの魔法陣はほかのものと様子が違った。 光が赤い。まるで血のような光だ。 そう、あの街の外で見たような光……。 嫌な予感がする。 ドリューは後ろに仰け反っている。 魔法陣の中には妖精ではない何かが出現していた。 それは浅黒い肌をしている。 翼は黒く、顔もとても厳つい。そうまるで悪魔のよう……。 何かは目を開けるとドリューを見た。 ドリューは小さな叫び声をあげて目を見開く。 それは両手を横に広げる。 だが手は途中で見えない壁に遮られているようで、最後まで伸びきっていない。 だが何かが腕に力を入れると、ガラスを引っかいたような音をあげて腕が伸びきる。 それと同時に何かは魔法陣から飛び出した。
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