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魔法陣から飛び出した何かは、手を向かい合わせ黒い玉を作り上げる。
するとその玉を手当たり次第に投げ始めた。
その顔は嬉しそうに笑っている。
まるであれは小さな悪魔のよう。
小さな悪魔が放った玉がぶつかった壁は綺麗にえぐりとられている。
まるでそこだけ消えたようだ。
生徒達は叫び声をあげながら扉へと向かっていく。
僕達三人はみんなに踏まれたりしないよう、教室の角でまるくなった。
小さな悪魔は逃げ出す生徒達に向かって黒い玉を投げる。
一つが男の子の足に当たった。
男の子は小さく叫び、床に転がる。
当たったところは綺麗に無くなっていた。
痛みはあるらしいが出血はしていない。
だから僕達からは、男の子の筋肉の繊維や骨が丸見えになっていた。
それを見た生徒達は一瞬動きを止める。
そして更にあの黒い玉に恐怖し、扉へ死に物狂いで走り出す。
そんな彼らを見ながら小さな悪魔は黒い玉を投げ続ける。
口元に薄ら笑いを浮かべながら。
生徒達が逃げ出すと、教室には小さな悪魔の笑い声と、妖精達の羽音だけが響いていた。
妖精達は魔法陣から出られないため、ずっと魔法陣の中で怯えている。
先生はというと、身を屈めながらドリューの魔法陣へ近づいていた。
小さな悪魔が先生に気付き、黒い玉を作り出す。
あれが当たれば先生もただではすまないだろう。
そう思うと何故か僕はその場で立ち上がっていた。
ウェインとジュリアンが驚いた顔で見上げている。
次の瞬間僕は自分が召喚した妖精の元へと走っていた。
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