第21章―召喚魔法―

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ウェインとジュリアンが僕を止めようとする姿が目に入ったが、僕は気にせず走り続けた。 小さな悪魔はいきなり現れた僕の方を見る。 そして手に持っている黒い玉を投げつけてきた。 黒い玉は真っ直ぐ僕の顔に飛んでくる。 僕はとっさに頭を下げた。 その勢いのまま、前に勢いよく転がり立ち上がる。 そしてまた走り出した。 小さな悪魔は僕に当たらなかったことが気に入らなかったらしく、さっきよりもでかい玉を作り出す。 僕はその間に妖精の元へとたどり着いた。 妖精は僕をじっと見つめてから小さな悪魔に目を移す。 まるで何かを訴えているようだ。 僕は妖精にそっと手を伸ばす。 そうしなきゃいけない気がしたから。 妖精は静かに目をつぶり、僕に手を伸ばしてきた。 僕は優しくその手に触れる。 すると、妖精の思いが僕の中に流れ込んでくる。 僕は妖精の手を離す。 妖精はゆっくりと目を開き、僕を見た。 僕はうなづくと妖精にまた触れた。 そして小さな悪魔のほうを見る。 小さな悪魔は自分よりも巨大な玉を作り上げていた。 小さな悪魔はニヤリと笑うと、僕に向かって投げてきた。 僕は目をつぶり、手を玉に向かってかざす。 妖精の魔力が触れているところから僕に流れ込んでくる。 僕はその魔力と自分の魔力を手のひらに集中させイメージする。 「貫け! フレイムスピア!」 僕は目を開けて叫んだ。 僕の手から炎が真っ直ぐ伸びて玉を貫く。 玉は貫かれたことで動きを止めた。 炎の槍は玉を貫いたまま小さな悪魔に向かう。 そしてグサリという音と共に、小さな悪魔は甲高い叫びをあげた。
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