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小さな悪魔は目を見開き、力無く炎の槍にぶら下がる。
まだ動いているので生きているらしい。
すると小さな悪魔の姿が徐々に消えていく。
先生がドリューの魔法陣に手を向けて、何か呪文を唱えていた。
先生が唱え終えると、小さな悪魔は細い煙だけを残し、この場から消えた。
僕はふっと力が抜けて床に座り込んだ。
ウェインとジュリアンが僕に向かってかけてくる。
先生は生徒達を呼び戻すために扉へ向かった。
「大丈夫ですか?」
ウェインが心配そうに僕をみつめた。
僕はウェインに笑いかける。
「大丈夫だよ。ウェイン」
「それにしても……あいつはなんだったのかしらぁ?」
ジュリアンが僕を見下ろしながら言った。
「さぁ……ドリューに聞いてみないと分からないよ」
僕はヨロヨロと立ち上がる。
僕が扉のほうを見やると、ちょうど生徒達が戻ってきた。
生徒達は警戒しながら入ってくる。
だけど小さな悪魔がいないとわかると、自分の荷物がある机へと向かっていった。
一番最後に先生が入ってきて教壇に上がる。
「思わぬものが召喚されたが、フェイア・ウィルヘルムが協力してくれたおかげで無事帰すことが出来た」
みんなの視線が僕に注がれる。
僕はうつむき、みんなの視線から逃れようとした。
先生がすぐ話し始めたので、視線は僕から先生に移動する。
「あいつを召喚したドリュー・ギリアスにはあとで私の研究室にきてもらおう。ではこれで今日の授業は終わる。各自荷物を片付け、妖精を帰し、魔方陣を消すこと。以上」
それだけ言うと先生は教室を足早に出ていった。
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