第22章―悪夢と罰掃除―

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「フェイア?」 ウェインが僕の顔を心配そうにのぞき込んでいる。 あれは夢だったのか……。 僕は安堵の溜息をついた。 「うなされてたみたいだけど……大丈夫?」 「大丈夫だよ。心配かけてごめんな」 僕は起き上がり微笑みかける。 「ならいいけど……」 ウェインはまだ不安そうだが、自分のベッドへと戻っていった。 僕は自分の汗を拭う。 冷や汗をだいぶかいていた。 額から滴り落ちるほどだ。 僕はまたベッドによこたわった。 なんであんな夢を見たのだろう。 とても生々しかった……血の臭いさえ感じた……。 僕は身震いをした。 嫌な予感がする……これがただの予感だけで済んだらいいけど……。 そんなことを思いながら、僕はまた目をつぶる。 だけど目をつぶるとさっきの光景が浮かんでしまう。 月明かりに照らされる魔法陣。 周りに転がっている沢山の死体。 手についた真っ赤な血。 最後に僕の後ろにいたものは一体なんだったのだろうか。 とても禍々しいものだった……不気味な雰囲気を持ち……恐怖だけを感じさせる……。 そんなものだった。 思い出したくても思い出せない。 そんなことばかり考えていたら、眠くなってきた。 どうやら僕には考え事は向かないらしい。 僕はさっきのことは夢だと思い込む。 そしてまた深い眠りへと落ちていった。
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