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「フェイア~……」
ウェインが力の抜けた声で話しかける。
「なんだよ……」
僕は溜め息混じりで聞く。
「もう疲れたよ~……」
「僕だって疲れたよ……」
「なんで僕達が……」
「文句言わずにやりなさいよ」
ジュリアンが後ろから僕達に言い放つ。
僕とウェインは互いに顔を見合わせると、同時に溜息をつく。
僕達三人は図書室にいた。
本の整理をしている。
本を正しい順番に並べたり、正しい場所にしまい直したりと、図書室の中を右往左往していた。
天井近くまである本棚には、所狭しと本が並べている。
しかも、そのような本棚が何百もズラッとそびえ立っているのだ。
そして何千何万という本の中から本の正しい場所を探さなければならない。
それを言い渡された瞬間、ウェインとジュリアンの顔が暗くなった。
僕はまさか図書室がここまで広く、こんなにも本があるとは思わなかったので、図書室に入ってようやく二人が落胆した理由を理解した。
何故僕達がこんなことをしているかは、だいぶ時間を遡らなければならない。
そう、それは召喚の授業でのことだった。
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