第22章―悪夢と罰掃除―

7/15
前へ
/386ページ
次へ
「一体何を話しているのだ……?」 低い声でルシード先生が言う。 ジュリアンが隣で溜息をついていた。 僕とウェインの額に冷や汗が浮かぶ。 「何やら楽しそうな話をしていたようだが……?」 「そんなことは……」 「もっと集中して授業に取り組みたまえ。いくら君達が優秀だとしてもだ……召喚魔法は簡単ではないのだからな」 ルシード先生は僕達を睨みつける。 それから魔法陣を見た。 「無駄話をするくらいなら魔法陣をもっと上手く書いたらどうかね? こんな状態ではまともなのが呼び出されないではないか」 先生はコンコンと指で机を叩く。 ドリューが向こうで僕達を見てにやついている。 僕はそれにムカついてドリューを睨みつける。 「ウィルヘルム、嫌なことでもあったかね?」 「いえ……」 僕はハッとして否定する。 「ウィルヘルム、ブリーズ、ラーゴは後で私の研究室へ来なさい。私語は罰に値する」 「なんで私が!?」 ジュリアンが先生に聞く。 先生はジュリアンを睨みつけた。 「隣にいながら私語を注意しなかった。連帯責任だ」 ジュリアンはそんな……と呟くとうつむいた。 先生は僕達から離れていった。 その後、先生に向かって僕達が小声で毒づいたのは言うまでもない。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加