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「一体何を話しているのだ……?」
低い声でルシード先生が言う。
ジュリアンが隣で溜息をついていた。
僕とウェインの額に冷や汗が浮かぶ。
「何やら楽しそうな話をしていたようだが……?」
「そんなことは……」
「もっと集中して授業に取り組みたまえ。いくら君達が優秀だとしてもだ……召喚魔法は簡単ではないのだからな」
ルシード先生は僕達を睨みつける。
それから魔法陣を見た。
「無駄話をするくらいなら魔法陣をもっと上手く書いたらどうかね? こんな状態ではまともなのが呼び出されないではないか」
先生はコンコンと指で机を叩く。
ドリューが向こうで僕達を見てにやついている。
僕はそれにムカついてドリューを睨みつける。
「ウィルヘルム、嫌なことでもあったかね?」
「いえ……」
僕はハッとして否定する。
「ウィルヘルム、ブリーズ、ラーゴは後で私の研究室へ来なさい。私語は罰に値する」
「なんで私が!?」
ジュリアンが先生に聞く。
先生はジュリアンを睨みつけた。
「隣にいながら私語を注意しなかった。連帯責任だ」
ジュリアンはそんな……と呟くとうつむいた。
先生は僕達から離れていった。
その後、先生に向かって僕達が小声で毒づいたのは言うまでもない。
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