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「ただ借りただけでしょ? そんな本借りる人は沢山いるわよ」
ジュリアンはどうでもいいと言うような口調で言った。
「そうだよ。だからそんなに固執する必要はないんじゃないかな?」
「そうかな……?」
僕はあまり納得がいかなかった。
授業で使うような本ではないし、研究に使うとしてもどんな研究なのか。
自分で使うとしたってあれは闇の力。
ファーが手を出してはいけないと言った力だ。
だから、ただ使うだけ、読むだけというのは納得は出来なかった。
「だってキリア先生よぉ? あんなに優しい先生が変なことするはずないじゃない」
ジュリアンがクスクス笑う。
「しかもちょっと脅かしただけで腰抜かすほどなのよ? すごく純粋で、冗談も通じないくらいの人だし。そんな人が何かやってたらすぐわかるでしょぉ?」
「確かに……」
僕はうなづく。
あの先生は隠し事は出来なさそうだしな。
「だから気にしなくていいじゃない」
「そうだ……ね」
僕はジュリアンに同意した。
きっと僕が考え過ぎなんだ。
あんな夢を見た後だから、きっと過敏になってるだけなんだろう。
そう思い、今日のことは記憶の片隅に置いておくことにした。
僕達は寮に戻るとベッドに飛び込む。
整理だけでクタクタだ。
明日もだと思うと気が滅入る。
僕達二人はシャワーで汗を流すとベッドに潜り込み、そのまま朝までぐっすりと眠りについた。
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