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「何集まっているのだ。さっさと散りたまえ! 邪魔だ!」
後ろからルシード先生が生徒達をどかせながら近付いてくる。
その後ろにはフロージア先生がいた。
フロージア先生はルシード先生に押されて倒れた生徒に手を差し伸べていた。
ルシード先生は荒々しく教室の中へと入っていく。
フロージア先生は静かに教室の前に立った。
「皆さん、これは面白いものではないのです。ですからあまり興味本位で見ないように。いいですね?」
フロージア先生はにっこりと微笑むと教室の中へ入り、扉を閉めた。
みんなは残念そうな溜め息をつきながら、バラバラに散っていく。
僕は一人、扉を見つめていた。
「フェイア!」
ウェインは僕のもとにかけてきた。
僕はウェインのほうを向く。
「はぐれたから焦ったよ。フェイアは中の様子見れた?」
「うん。見れたよ」
「どんな風になってたの?」
ウェインは目を輝かせながら聞く。
僕は少し考えてから口を開いた。
「そんな面白いものはなかったよ。あったのは妖精が飛び交ってる姿だけさ」
「なんだ~」
ウェインはがっくりと肩を落とした。
きっとこれでいいんだ。
ウェインはあんなものを見ない方がいいんだ。
あれはあまりにも酷すぎる。
それに……あれが悪魔の仕業だとしたら……すごく大変なことだから。
だからまだ、先生が教えるまでは言わない方がいいんだ。
僕はトボトボと歩くウェインに飛びつく。
それから二人で寮へと向かった。
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