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「中の様子は私からは話しませんけどねぇ。知りたい人はルシード先生に聞いてくださぁい」
みんながざわついた。
中の様子は知りたいのだろうが、聞く相手はあのルシード先生だ。
ルシード先生では話しかけるのも勇気がいる。
そんな人相手に聞くなんて、僕達にとっては一本の針を藁の山から探すくらい大変なことだった。
「私はあまり聞かないことをオススメしますけどねぇ。あれは子供は見ない方がいいですからぁ」
ローラ先生はニコニコと微笑んでいた。
だけど突然真剣な顔つきになる。
「あれは召喚魔法が失敗したことによって起きた事件です。召喚魔法はルシード先生が教えてくれてますね?
いいですかぁ? モンスターを召喚するということはとても大変なことなの。だからふざけては行わないことですよ」
生徒達が静かに先生の話にうなづく。
みんなこれはただ事じゃないと分かっているようだ。
「みんなお利口ですねぇ。では今日は終わりますよぉ。次の授業までは自由に過ごしていてくださぁい」
ローラ先生はいつもの優しい笑顔に戻ると、自分の本を抱えて教室を出ていった。
先生が出ていった後、しばらくは教室の中は静かだった。
だけどすぐにいつもの賑やかさを取り戻し、僕もウェイン達と他愛のない会話を楽しんだ。
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