第23章―禍々しきもの―

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他の先生達は、事件について話さなかった。 それは僕にとっては嬉しいことだった。 ただ問題が一つある。 最後の授業がルシード先生の授業だということだ。 誰かがルシード先生に事件のことを聞くかもしれない。 そうしたらルシード先生は説明するだろう。 僕はソワソワしながら先生を待った。 先生が扉を開けて教室に入ってくる。 話していた人達はみんな黙り込んだ。 先生は教壇にあがると、机の上に本を乱暴に置いた。 「さぁ、授業を始めるぞ」 先生は置いた本を手に取り、パラパラとページをめくる。 すると誰かが先生!と言い手を挙げた。 みんなの視線が手を挙げた人物に集まる。 手を挙げた人物はドリューだった。 ルシード先生は視線を本からドリューに移す。 「先生。是非先生に今日の事件について説明して欲しいのですが」 ドリューは真剣な顔でルシード先生に言う。 ルシード先生は少し考えてから口を開いた。 「今日の事件は召喚魔法の暴走から起こったものだと知っているか?」 先生は僕達を見据えながら聞く。 生徒達はみんなうなづいた。 「では……何が召喚されたか分かったものはいるか?」 みんながざわついた。 何が召喚されたなんて誰も分からないはず。 多分……僕以外は。 先生はみんなの反応を見て溜息をついた。
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