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他の先生達は、事件について話さなかった。
それは僕にとっては嬉しいことだった。
ただ問題が一つある。
最後の授業がルシード先生の授業だということだ。
誰かがルシード先生に事件のことを聞くかもしれない。
そうしたらルシード先生は説明するだろう。
僕はソワソワしながら先生を待った。
先生が扉を開けて教室に入ってくる。
話していた人達はみんな黙り込んだ。
先生は教壇にあがると、机の上に本を乱暴に置いた。
「さぁ、授業を始めるぞ」
先生は置いた本を手に取り、パラパラとページをめくる。
すると誰かが先生!と言い手を挙げた。
みんなの視線が手を挙げた人物に集まる。
手を挙げた人物はドリューだった。
ルシード先生は視線を本からドリューに移す。
「先生。是非先生に今日の事件について説明して欲しいのですが」
ドリューは真剣な顔でルシード先生に言う。
ルシード先生は少し考えてから口を開いた。
「今日の事件は召喚魔法の暴走から起こったものだと知っているか?」
先生は僕達を見据えながら聞く。
生徒達はみんなうなづいた。
「では……何が召喚されたか分かったものはいるか?」
みんながざわついた。
何が召喚されたなんて誰も分からないはず。
多分……僕以外は。
先生はみんなの反応を見て溜息をついた。
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