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「誰一人として分からないのか。予習ということをしてない者達ばかりか。
仕方ない。今から私が言うことを聞いて、何が召喚されたか調べてみろ」
生徒達は一斉に本を出し、表紙を開いた。
「まず、あれを召喚するには巨大で複雑な魔法陣を要する。あれにはいくつもの階級があり、上の階級になるものほど、複雑な魔法陣と大量の魔力を必要とする」
生徒達は先生の言葉を頼りにページをパラパラとめくる。
僕も本を開き、あれのページを探した。
「そして、あれが召喚されたとき空気は震え、冷え切り、不思議な感覚に襲われるはずだ。その感覚は恐怖に絶望。また圧倒的な魔力による圧力と言われている」
少しずつあれの正体が絞られていく。
特に恐怖と絶望、力の圧力というキーワードは特別で、当てはまるものはほんの一握りしかいない。
「あれは召喚されると、まず魔法陣から抜け出そうとする。頭を働かせ、召喚者を騙し、少しでも自由を得ようとする。そこで魔法陣が働いていなければ、拘束の呪文は破られ……今日の事件のような惨状になるわけだ。
さて、これで答えに辿りつくと思うのだが……どうだ?」
先生はみんなを見渡す。
きっとみんなは同じページを開いているだろう。
そう……悪魔というページを。
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