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「そうだ。手伝ったものがいるのに死体は一つ……これはおかしいだろう? となると、手伝った者はまだこの校内にいることになる」
生徒達は動揺する。
それもそのはずだ。悪魔を召喚した人間が自分達のそばにいるかもしれないのだから。
しかも悪魔が自由を手にしている今、この学校は危険な場所となってしまった。
「今ここは安全な場所では無くなった。いいか?
もし悪魔を見たら逃げろ。誰か先生に伝えるのだ。召喚した者を見つけたら知らせろ。自分1人で捕まえようとするな。
命が惜しいのであればな」
教室内が静まった。
みな真剣に先生の話を受け取ったのだ。
「悪魔は恐怖に絶望が好物だ。
恐怖したら悪魔は喜ぶ。絶望したらそこにつけこむ。強靭な精神を忘れるな。
では今日はこれで終わる」
先生はそう言うと、本を抱えて静かな教室から出ていった。
恐怖するなと言われても無理な話だ。
悪魔は僕達人間に恐怖を感じさせる。
それを僕は感じたのだから。自分の身を持って……。
生徒達はみな自分の荷物を持って寮や家へと帰っていく。
家に帰った者は安心だろう。
悪魔のいる学校から離れるのだから。
だが寮にいる生徒達は怯えて夜を過ごさなければならない。
夜は悪魔の活動する時間……僕達が眠る時間……。
きっと誰一人として安心して眠ることは出来ないだろう。
それは僕自身もだが。
僕はウェインとジュリアンと共に、暗い雰囲気の生徒達の横を通り過ぎ、寮へと戻っていった。
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