第23章―禍々しきもの―

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先生はまだ校内を見回っている。 教室の中を隅々まで調べて出る、また違う教室内を調べては出るの繰り返しだった。 ずっと同じことを見続けて僕は飽きてきた。 だけど今の僕自身は、自分の意志とは反対に、先生のあとをつけまわす。 先生はずっと僕に気付かないようで、警戒しながらも進んでいた。 僕は追跡なんてのは上手い訳じゃない。 実際、ベルにだって僕の追跡はバレるくらいだ。 気配の消し方なんて全くもって知らないし、姿を隠すようなことなんて一切していない。 なのに先生は僕に気付かず通り過ぎたり、また進み始めたりする。 変だなとは感じてるが、バレてないことに変わりはない。 僕はひたすら先生の背中を追い続けた。 先生は大体の教室を見終えると、階段に向かって歩き出した。 ルシード先生が階段に向かう廊下の角を曲がると、どこからが低い爆発音のようなものが聞こえた。 ルシード先生はさっと身を翻し、音のしたほうへと向かっていく。 僕の胸は高鳴っている。 恐怖で鼓動が早くなっているわけじゃなかった。 もっと別の感情が僕の心臓の鼓動を早くしているのだ。 先生は廊下を風のように駆け抜ける。 僕は全速力で走る先生のあとを追いかけた。
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