第23章―禍々しきもの―

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何度も廊下の角を曲がり、音のした場所に向かう。 向かっている間にも、爆発音のようなものは聞こえてくる。 その音は次第に大きくなっていく。 これは僕達が音の原因に近付いているからだろう。 角を曲がるとルシード先生は誰かにぶつかった。 ぶつかったと言うよりはつまづいたと言う方が正しいだろう。 先生は足元に目をやると、腰を抜かして座り込んでいる生徒がいた。 ドリューは目を見開き、正面を向いたまま、震えている。 その視線の先には扉のない教室があった。 ルシード先生は教室の中を覗き込む。 僕も先生の後ろから教室内を覗いた。 教室の中はすごい状態になっていた。 扉は無いのではなく砕け散り、その破片が床に散らばっている。 他にも元は本であっただろうと思われる紙が散乱している。 窓のガラスは全て割れていて、冷たい夜の風が入り込む。 壁はへこみ、ひび割れていて、さっきの爆発の威力を彷彿させていた。 だけど一番目に付くのは、床に残った大きな爪痕とそこに横たわる血まみれの人間。 その体は真っ赤に染まり、目には絶望の色を落としていた。
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