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ルシード先生は静かに教室から出ると、ドリューのそばにいき、片膝をついた。
ドリューは相変わらずガタガタ震えている。
「何故ここにいる。ドリュー」
ルシード先生が名前を呼んだだけで、ドリューはビクッとする。
「先生の……助けをしたいと思って……」
「校則違反なのはわかっているな」
「はい……でも……」
「でもじゃない」
ルシード先生はいつもより声を荒げた。
ドリューは小さく縮こまる。
「今は危険だと説明したはずだが? もし私じゃなく召喚された悪魔や召喚者に見つかっていたら、お前が死んでいたかもしれないのだぞ」
「すみません……」
ドリューは震える声で、小さく呟いた。
「ここはお前が駆けつけたときはもうこんな状況だったか?」
ドリューはうなづいた。
「全く。今回は無事だったから良かったが、今後はこんな真似はするな。わかったか、ドリュー」
「はい……」
「さっさと立て。寮まで送ってやる。私は他の先生方にも知らせにいかなければいけないのだから。ほら、急げ」
ルシード先生はドリューを立たせると、寮へ向かって歩き出した。
立たせる前に先生は一瞬教室を見た気がした。
まるで何かを確かめるかのように。
多分僕の気のせいだろうが。
先生は早足で歩き出した。
僕はついていこうとするが、体が動かない。
視界もだんだんぼやけてきた。
何かに引っ張られる。
僕の目の前は真っ暗になった。
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