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─―いいでしょう。フェイア、貴方を我が主として認め、貴方に仕えましょう。
妖精はゆっくりと浮かび上がる。
─―手を差し出して下さい。
僕は妖精に言われたとおり手を差し出した。
妖精はそっと僕の手に触れる。
─―炎の化身イフリートから生まれし命。我、ユーノの名において汝と主従の契りを結ばん……。
僕の腕が熱くなる。
僕は服をめくり、腕を見た。
腕には炎のような模様が浮き出ている。
ジュリアンとウェインの視線が僕の腕に注がれる。
─―これでフェイア、貴方と私は誓約で結ばれました。さぁ、私に命令を。
「ルシード・ハーゲンリーブスを見張れ。その言動の全てを僕に報告するんだ」
─―分かりました。では、呼び出すときは我が名を呼びなさい。
そう言うと、ユーノは炎をあげてこの場から消えた。
僕は床に座り込む。
ウェインとジュリアンが駆け寄ってきた。
「大丈夫。これでルシード先生のことが分かるはずだよ」
僕は苦笑いしながら言った。
それから天井を仰ぐ。
これ以上僕達が出来ることはないだろう。
僕達は出来る限りのことはやったんだ。
あとは結果を待つだけ……。
僕達は魔法陣を消すと、部屋から出ていった。
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