第25章―疑わしき人―

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「なかなか尻尾を出さないなぁ」 僕は図書室の椅子に寄りかかった。 「もう一週間。もっと早く分かると思ったんだけどな」 「相手は先生よ? そう簡単にいくはずないじゃなぁい」 ジュリアンが呆れたような声で言う。 「ユーノがバレてるんじゃ……」 「まさか! そんなことないさ! きっと……」 ウェインの言葉を否定はするが、不安が僕の頭をよぎった。 本当にバレてるんじゃ……逆に悪魔を使って僕達を突き止めたりしたんじゃ……。 僕は頭を振り、その考えを消し去る。 そんなことない、バレたりしてないはずだ。 バレているなら、もう殺されていてもおかしくないはず。 うん、大丈夫だ。 僕は一人でうなづいていた。 「フェイア? 何一人でうなづいてるのよ」 「いや、気にしないで! ほら宿題しよう!」 僕は紙を開き、羽ペンで文字を書いていく。 宿題はルシード先生が出したものだ。 内容は魔物と召喚する生き物の違いについて。 僕達は本を沢山持ってきて、宿題に使える資料を探していた。 ジュリアンはもう本を投げ出し、紙に落書きをしている。 ウェインはずっと本のページをめくり続けていた。 今にも頭から煙が出てしまいそうな顔をしている。 僕はというと、使えそうなページを見つけると、その内容を紙に書き留めていた。 僕が紙に魔物について書いていると、ある人が目に入った。
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