第25章―疑わしき人―

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僕は先生が棚から出てきたとこを、後ろから話しかけた。 「先生っ」 「えっ!? キャアッ!」 シリア先生は抱き抱えていた本を落とし、しりもちをついた。 「先生、大丈夫ですか?」 「えっ…えぇ。大丈夫ですよ」 先生は答えると、埃を払いながら立ち上がり、本を拾い始めた。 僕も拾おうと手を伸ばしたら、先生が僕の腕を掴んだ。 どんどん力が込められ、ギリギリと音がする。 あの細い腕からどうやったらこんなに力が出るんだ……。 「先生……痛いです……」 「あ、ごめんなさいっ」 シリア先生はハッとして手を離した。 先生の手の跡がくっきりと残っている。 先生は本をサッと拾うと、僕の腕を見た。
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