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「シリア先生といえばね、これ、知ってる?」
ジュリアンが歩きながら僕達に聞いた。
「ある事件のう・わ・さ」
「事件?」
僕はジュリアンに聞き返す。
ジュリアンはニヤリと笑うと話し出した。
「この間もまた事件があったらしいの。悪魔に関する事件が。
一階のある部屋が立ち入り禁止になってるじゃない? 先生はみんな改装中だからって言ってるけど。
実は、そこが事件現場だって噂なのよぉ」
僕の心臓がドクンと高鳴る。
一階……ある部屋……。
「ある女の子が部屋の中を覗いたんだって。そしたらその部屋の中はどうなってたと思う?」
ジュリアンはニヤニヤと笑っている。
心臓の鼓動が早くなる。
僕はもしやと思い、言ってみた。
「バラバラに割れたガラスに床に残った……大きな爪痕とか……?」
ドクン
「なんだぁ、フェイア知ってたのねぇ」
ドクン
「でね、そこで殺された人が……」
「フェイア!?」
僕は走り出した。
記憶を頼りにあの部屋を探した。
夢で見たあの部屋を……夢だと信じたい……そう思いたいんだ……。
僕は全速力で廊下を走り抜ける。
そして見覚えのある角を曲がり、ようやくあの部屋の前に着いた。
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