第25章―疑わしき人―

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「シリア先生といえばね、これ、知ってる?」 ジュリアンが歩きながら僕達に聞いた。 「ある事件のう・わ・さ」 「事件?」 僕はジュリアンに聞き返す。 ジュリアンはニヤリと笑うと話し出した。 「この間もまた事件があったらしいの。悪魔に関する事件が。 一階のある部屋が立ち入り禁止になってるじゃない? 先生はみんな改装中だからって言ってるけど。 実は、そこが事件現場だって噂なのよぉ」 僕の心臓がドクンと高鳴る。 一階……ある部屋……。 「ある女の子が部屋の中を覗いたんだって。そしたらその部屋の中はどうなってたと思う?」 ジュリアンはニヤニヤと笑っている。 心臓の鼓動が早くなる。 僕はもしやと思い、言ってみた。 「バラバラに割れたガラスに床に残った……大きな爪痕とか……?」 ドクン 「なんだぁ、フェイア知ってたのねぇ」 ドクン 「でね、そこで殺された人が……」 「フェイア!?」 僕は走り出した。 記憶を頼りにあの部屋を探した。 夢で見たあの部屋を……夢だと信じたい……そう思いたいんだ……。 僕は全速力で廊下を走り抜ける。 そして見覚えのある角を曲がり、ようやくあの部屋の前に着いた。
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