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あそこにいたのは……ルシード先生……。
何かと話していた……。
先生の周りにはキラキラと光ったものがあった。
きっとあれは悪魔か何かの能力だ……。
僕はまた部屋の中を覗いた。
やはり、何度見ても、部屋にいたのはルシード先生だ。
本を持ちながら、何かを呟いている。
その足下には小さな魔法陣。
何かを召喚しようとしているのだろうか……。
僕はルシード先生を見つめ続けた。
ふいに先生が扉の方に目を移した。
先生と一瞬目が合う。
先生は本を急いで閉じた。
僕はヤバいと思い、扉から離れて逃げ出そうとする。
だけど体が動かない。
僕はその場で凍り付いていた。
扉が開き、ルシード先生が現れた。
僕を見て一瞬驚いた顔を見せるが、すぐにいつもの無愛想な顔に戻る。
「こんなところで何をしている? フェイア・ウィルヘルム」
「その……通りかかっただけで……」
僕はどもりながら答える。先生は難しい顔をしていた。
「さっさとここから離れたまえ。そしてこの中の様子は誰にも口外するな。でなければ、お前が犯人として怪しまれてしまうぞ……」
先生はそれだけ言うと、ローブを翻して足早に去っていった。
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