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「た、大変! みんな、寮へ避難して!」
生徒達がざわついた。
食堂にいた他の先生がシリア先生に駆け寄って話を聞いている。
「皆さん静かに!」
ある女の先生が叫んだ。
「今、街の妖精や魔獣達がここに飛び込み、あちこちで暴れているそうです。皆さんは速やかに寮へと戻ってください。通っている人も寮に避難して下さい。自分の身を守るためになら攻撃魔法を許可します。
さぁ、寮へ戻って!」
生徒達は一斉に扉へと向かった。
僕達は一番後ろで待っていた。
「タイミングが良すぎると思わない?」
ジュリアンがボソッと言った。
「昨日、何かしているルシード先生をあの部屋で見て、今日、いつも大人しい召喚された妖精達が暴れているのよ? 明らかにおかしいわ」
「僕もそう思うよ。それに学校には結界が張ってある。だから妖精達が飛び込んでくるはずないんだよ」
ウェインも額にしわを寄せながら言った。
「誰かが結界を解いたんだわ。学校中を混乱させるために……」
「一体誰が……」
ウェインは口をつぐんだ。
きっとこんなことをしたのはルシード先生だからだ。
僕達は物陰へと隠れる。
「どうするの? ルシード先生だとしたら、どこにいるかは分からないわ」
「分かるよ。ユーノが先生のあとについていってるんだから」
僕はそう言って手のひらを出した。
「我が名フェイアの名において、出でよユーノ」
だがユーノは現れない。
僕は何度も唱えるが、ユーノは姿を現さなかった。
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