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階段は暗く、明かりがついていない。
しかも階段の周りだけは魔物の姿もなく、気味が悪いほどに静まり返っていた。
僕達は顔を見合わせた。
ウェインもジュリアンも不安そうな顔をしている。
「ここから先は来なくてもいい。僕の考えが正しければ……この下はかなり危険なんだ。
だから引き返すなら今のうちだよ」
僕は真剣な顔をして言った。
ウェインは下を向くが、ジュリアンは一歩踏み出す。
「今更引き返せるわけないじゃない。それにフェイアだけには任せてられないわ。私も行くわよ。
一人じゃ無理だって言ったのは貴方だしねぇ」
ジュリアンはニコリと笑う。
だが顔とは裏腹に足は小刻みに震えていた。
「僕も行くよ…! 僕だって役に立つかもしれないだろ!」
「ウェイン……」
ウェインは唇を噛み締めながら言う。
その目には恐怖が浮かんでいるが、決心したようだ。
「わかったよ。そうだ、ウェインに頼みたいことがあるんだ。僕の机から剣を持ってきてくれないかな?」
「剣を……?」
ウェインは聞き返す。
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