第26章―暴走―

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階段を降りていくほど、空気が冷たくなっている気がした。 重い空気が僕達二人にまとわりつく。 何かに上から押さえられているような圧迫感もあった。 ジュリアンの額には冷や汗が浮かんでいる。 口も震え、怯えていた。 僕はジュリアンの手を握って歩く。 ジュリアンは僕の行動に少し驚いたようだが、強く握り返してきた。 僕はジュリアンを見てから、前に向き直り、階段を下る。 僕達は出来るだけ早く降りていった。 そしてついに出口が見えた。 少し顔を出して周りを見回す。 人の気配は全くしない。 生き物の気配も近くにはしなかった。 僕は後ろに立っているジュリアンに目で合図をし、足音を忍ばせながら階段から離れた。 壁を背にしてゆっくりと歩く。 壁を背にするのは、後ろから襲われないようにするためだ。 悪魔が壁をすり抜けられないことを前提に考えてだが。
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