第27章―待ち受けている者―

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僕とジュリアンは奥へ奥へと進んでいく。 足元は暗くあまり見えない。 何回かつまづいてこけそうになった。 それでも僕達は進んでいった。 奥へ行けば行くほど空気が冷たく、重くなっていく。 進むのは危険だと体が感じている。 引き返したいと思っている。 それでも進まなければいけないんだ。 僕達に止められるとは思っていないけど……それでもやれることはやらなきゃダメなんだ。 僕は自分の体に鞭打ちながら一歩一歩踏み出していく。 踏み出す度に僕の体をある感情が駆け巡る。 恐怖……絶望……。 この先のことに恐怖している。 このあと起こってしまうかもしれないことに絶望してしまう。 この二つは絶対に思ってはいけないことなのに……。 悪魔の糧となってしまうのに… …どうしても取り除くことができない。 僕は深呼吸をする。 呼吸をするのも辛い。 僕がうつむいていると、ジュリアンが僕の腰に手をあて、くすぐり始めた。 「な、何するんだよ!?」 僕はジュリアンの手を押さえながら言った。 「フェイア怖いんでしょ? だから笑わせようとしたのよ。笑ったら恐怖なんて無くなるんだから」 ジュリアンは笑いながら言った。 ジュリアンには僕の感情が分かってしまうようだ。 僕はクスリと笑った。 確かに笑ったら恐怖はあまり感じない。 僕はジュリアンに微笑みかけ、感謝しながら進む。 ジュリアンもあとをついてくる。 そしてようやく辿りついた。 あの場所に。
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