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召喚場は薄暗かった。
だが中心にある巨大な魔法陣の周りにろうそくが灯っているからか、他の場所に比べたら明るい。
僕達は姿勢を低くしながら、召喚場に入っていった。
魔法陣のそばに人影は見当たらない。
周りも確認するが、人の姿は無かった。
僕はジュリアンに目で合図を送る。
ジュリアンはうなづくと、魔法陣に駆け寄っていった。
急にジュリアンの動きが止まった。
ジュリアンは走っている姿勢のまま動かない。
僕はジュリアンに近付こうとした。
だけど僕の体も動かない。
まるで何かに押さえられているようだ。
僕は必死に動こうともがいた。
けれども、抵抗は虚しく意味をなさない。
僕がもがいていると、ジュリアンの体が宙に浮かんだ。
体は気を付けの姿勢になっている。
ジュリアンの顔は苦しみで歪んでいた。
ふと、僕を押さえつける力が弱まった。
僕は飛び出し、ジュリアンを助けようとした。
だがジュリアンまで届かず、何かに吹き飛ばされた。
自分のお腹に痛みが走る。
僕はお腹を押さえながらすぐ起き上がり、短剣を構えた。
後ろからコツコツと靴の音が聞こえる。
僕は振り返り、音の主を探る。
僕はその人を見て、自分の目を疑った。
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