第27章―待ち受けている者―

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ジュリアンを宙に浮かせていたのは悪魔の手だった。 黒い毛に覆われた腕に血のように赤い爪。 褐色の手がジュリアンの体を握っていた。 頭には捻れた角が2本生えている。 猿に似た顔をしているが、口からは長い牙が伸びていた。 目はつり上がり、月のような金色をしている。 中心にある黒い瞳が僕を見据えていた。 「この子は物を破壊する衝動が激しくてね。毎回人を殺す度に部屋もボコボコにしてしまって困るんだ」 シリア先生は悪魔の足を撫でながら言った。 「特に人の血を見るのが好きらしくてね……今もジュリアンの血を見たがっているよ……」 先生はクスクス笑いながらジュリアンを見上げた。 ジュリアンの顔は恐怖でひきつっている。 先生はそんなジュリアンを見て笑い声をあげる。 「アハハハハ! 良い顔をしているねジュリアン・ラーゴ! その感情はこの子を高ぶらせるのに! アハハハハ!!」 悪魔が手の力を強める。 ジュリアンは小さく叫び声をあげた。 「ジュリアン!」 「大人しくしていなさい、フェイア・ウィルヘルム。次は君の番だからね」 シリア先生は僕のそばに来て、僕の顎を持ち上げる。 「君は彼女よりもっと苦しめてあげるからね」 先生は僕に微笑みかけると、悪魔に向かって手を伸ばした。
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