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「そう、それとね」
先生はにっこり笑いながら僕を見た。
「私はシリアじゃないの」
先生の手が自分の髪を掴む。
「キリア。キリア・エールリッヒ」
先生の髪は一気に茶髪から黒髪に変化する。
「シリアはもう死んでるのよ」
「まさか、二回目の殺人……」
「そうよ」
キリア先生は笑顔のまま話す。
「シリアってば、あの子を召喚してからずっと邪魔するんだもの。毎日毎日もうやめようって。悪魔を帰そうって。
あの召喚した時の惨劇を見て怖気づいたのね。もともと平和主義だったし。向かなかったのよ」
突然、先生は親指の爪を悔しそうに噛む。
僕にまで音が聞こえそうなほど、強く。
「しかもルシードに告げ口するし。全く、本当に役立たず。ルシードはしつこくてねぇ、だからシリアを殺してシリアに化けたわ。召喚したらシリアには用はないもの。
それでもルシードは私を怪しみ続け、ずっと私を調べてた。ようやくルシードを撒いて、召喚する準備が整ったって言うのに……次はこの子供二人よ。
本当……苛々する」
「姉妹じゃないんですか! 家族なのに、なんで!」
「家族だからどうだっていうの?」
キリア先生は僕を睨む。
「家族ってただ血が繋がってるだけの関係じゃない?私の邪魔をするなら家族なんていらないわ。こっちから願い下げよ」
そう言ってまた僕を蹴った。
鈍痛が体内に広がっていく。
「さて、もうすぐ私の計画は成功するの。ようやくよ。ずっとここで我慢して、耐え続けた。ようやく時が来たの。
もう誰にも邪魔させないわ!」
先生は満面の笑みを浮かべると、悪魔のほうを見た。
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