352人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
「さぁ、握りつぶしな……」
僕は無理矢理体を動かし、キリア先生の足に捕まる。
先生は僕を見下ろすと、クスリと笑って僕の顔を蹴り上げた。
倒れた僕の髪を先生が掴み、持ち上げる。
「凄いねぇフェイア・ウィルヘルム。悪魔の束縛の瞳を解くなんてさ。でもちょっと生意気だよ!」
先生は僕を壁に向かって投げ飛ばす。
僕は勢いよく壁にぶつかり、床に倒れ込んだ。
人間の力じゃ到底この距離を飛ばすことなんて出来るはずがない。
僕はキリア先生を睨みつけた。
口から垂れた血を手で拭う。
「まだ刃向かうの? 君じゃあ私には勝てないよ? なぜなら……」
「悪魔の力を借りているから……でしょう?」
僕は立ち上がりながら先生に言った。
先生は眉間にシワをよせる。
「契約してるから力を借りることができるんですよね? その力は悪魔から借りた力だ。じゃなきゃここまで投げ飛ばせないでしょう……キリア先生」
僕はニヤリと笑って言った。
先生は顔をしかめるが、クスリと笑う。
「そうだよ。しっかり調べてはいるみたいね。だが、それが分かったところでなにも出来やしない!」
「それはどうでしょうね……」
「何……?」
僕は先生を見つめる。
「先生はそこにいる悪魔より、もっと強い悪魔を召喚しようとしてますよね?」
僕は一歩踏み出した。
踏み出した時の振動が腹や顔に響く。
それでも僕は歩み続けた。
最初のコメントを投稿しよう!