第27章―待ち受けている者―

7/10

352人が本棚に入れています
本棚に追加
/386ページ
「さぁ、握りつぶしな……」 僕は無理矢理体を動かし、キリア先生の足に捕まる。 先生は僕を見下ろすと、クスリと笑って僕の顔を蹴り上げた。 倒れた僕の髪を先生が掴み、持ち上げる。 「凄いねぇフェイア・ウィルヘルム。悪魔の束縛の瞳を解くなんてさ。でもちょっと生意気だよ!」 先生は僕を壁に向かって投げ飛ばす。 僕は勢いよく壁にぶつかり、床に倒れ込んだ。 人間の力じゃ到底この距離を飛ばすことなんて出来るはずがない。 僕はキリア先生を睨みつけた。 口から垂れた血を手で拭う。 「まだ刃向かうの? 君じゃあ私には勝てないよ? なぜなら……」 「悪魔の力を借りているから……でしょう?」 僕は立ち上がりながら先生に言った。 先生は眉間にシワをよせる。 「契約してるから力を借りることができるんですよね? その力は悪魔から借りた力だ。じゃなきゃここまで投げ飛ばせないでしょう……キリア先生」 僕はニヤリと笑って言った。 先生は顔をしかめるが、クスリと笑う。 「そうだよ。しっかり調べてはいるみたいね。だが、それが分かったところでなにも出来やしない!」 「それはどうでしょうね……」 「何……?」 僕は先生を見つめる。 「先生はそこにいる悪魔より、もっと強い悪魔を召喚しようとしてますよね?」 僕は一歩踏み出した。 踏み出した時の振動が腹や顔に響く。 それでも僕は歩み続けた。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加