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「何故そんなことをするんですか……」
「何故って? そんなの分かりきったことじゃない!! 力が欲しいからよ!!」
先生は笑いながら言った。
「この世は力が全てなのよ! 力さえあれば全てを服従させられる! 力さえあれば全てを手に入れられるのよ!!」
先生は両手を広げ、天井を見上げた。
僕は先生に向かって叫んだ。
「だからって闇の力……禁忌の力に手を出すんですか!」
「そうよ!!」
先生は僕を睨みつける。
僕はその目を見て少し怯んだ。
「闇の力は強いもの。闇の力が使えれば何も怖いものなんて無いわ! 決まりを守る魔術師達なんてねぇ!! あんな奴らは強大な力に怯えているだけの弱い奴らなのよ!!」
先生は召喚場に響くくらいの笑い声をあげた。
僕は先生の笑い声をかき消すくらい力一杯叫ぶ。
「闇の力だって光には無力だ! それに決まりを守る者が弱いんじゃない! 決まりを守り、力を手に入れた人が強いんだ!
先生は禁じられた力を手に入れることでしか強くなれない。そんなのは偽りの強さでしかないんだ!」
「五月蝿い!!」
キリア先生は僕に向かって怒鳴った。
「貴方に何が分かる……力が無い者の無力さをお前は知っているの……」
先生は拳を強く握り、うつむく。
僕はジリジリと先生に近づいていった。
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