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「貴方にはわからないのよ……フェイア・ウィルヘルム」
先生は顔を上げて僕を見つめた。
それから悪魔に目を移す。
「もうおしゃべりはここまで。さぁ……潰してしまいなさい!」
先生は悪魔に命令をした。
悪魔はジュリアンを掴む手に力を込める。
だが悪魔は急に手を離し、苦しみ始めた。
ジュリアンが落ちるっ!
僕はとっさにジュリアンに向かって飛び出した。
ギリギリのところでジュリアンの体が僕の腕に収まる。
ジュリアンは微かに笑みを浮かべていた。
「一体何をしたの! 答えなさい!」
先生が悪魔に駆け寄り、叫んだ。
ジュリアンはよろよろと立ちながら答えた。
「ユニコーンの血をかけてやったの。悪魔の弱点だものね。思った以上に効いてびっくりしたわぁ」
「ユニコーンの血ですって!? どこから……」
先生は口をつぐんだ。
そしてほくそ笑む。
「魔具庫からね……あそこにはユニコーンの血があるもの。ホント、よく調べあげたのね……貴方達。授業なら感心してほめるところだけど、もう許さないわ。苦しんで死になさい」
先生は僕達に向かって手をかざす。
そして呪文を唱えた。
先生の手から黒い霧が発せられる。
黒い霧は僕達二人を囲んでいった。
「絶望と言うなの闇で苦しんで?」
先生が大声で笑う。
霧が僕達を包み込んだ。
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