第28章―幻影―

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「なんでここにいるの……? 兄様……」 「なんでって……俺達の家じゃないか。ここはさ。フェイア、ぼけたんじゃねぇの?」 兄様は笑いながら僕の頭をグシャグシャと撫でる。 あぁ……この感覚。 これは間違いなく兄様だ……。 でもなんで? さっきまで召喚場にいたのに……。 僕はハッとして周りを見回した。 兄様が驚いて、僕の頭から手を離す。 「どうしたんだよ?」 「悪魔は!? 悪魔はどこに……」 「悪魔? 何いってんだよ? 悪魔なんているわけないだろ?」 兄様が僕に近寄り、額に手を当てた。 「熱でもあるんじゃね?」 「熱なんてないよ! 確かにいたんだ!」 僕は兄様の手を振り払う。 「どこに……」 「フェイア……お前変だぞ?」 兄様が眉間にシワをよせながら言った。 「お前……フェイアじゃないな?」 「兄様!? 何を……」 「お前は……フェイアの偽物か!」 兄様は僕に剣の先を向ける。 その目には疑いの色が浮かんでいた。
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