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兄様に剣を向けられるなんて……。
こんなこと、おかしい。
「僕はフェイアだよ!」
僕は必死で訴えた。
けど兄様は剣を降ろす素振りを見せることはない。
「フェイアだったらそんな変な言動するものか! フェイアをどこにやった!」
「だから僕がフェイアだよ!」
「五月蝿い!」
兄様は声を荒げる。
「フェイアの姿を被りやがって……何が目的だ!
お前の正体は魔物なのか! フェイアを返せ!」
兄様は僕に剣で切りかかる。
剣筋には躊躇いがない。
僕は後ろに飛びよけ、ここから離れようとした。
だがさっきまで稽古をしていた人々が僕達を取り囲んで壁を作り、道を塞いだ。
僕には逃げ道がない……。
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