第28章―幻影―

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兄様に剣を向けられるなんて……。 こんなこと、おかしい。 「僕はフェイアだよ!」 僕は必死で訴えた。 けど兄様は剣を降ろす素振りを見せることはない。 「フェイアだったらそんな変な言動するものか! フェイアをどこにやった!」 「だから僕がフェイアだよ!」 「五月蝿い!」 兄様は声を荒げる。 「フェイアの姿を被りやがって……何が目的だ! お前の正体は魔物なのか! フェイアを返せ!」 兄様は僕に剣で切りかかる。 剣筋には躊躇いがない。 僕は後ろに飛びよけ、ここから離れようとした。 だがさっきまで稽古をしていた人々が僕達を取り囲んで壁を作り、道を塞いだ。 僕には逃げ道がない……。
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