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そうだ……これは兄様のはずがないんだ……。
僕はここにはいないんだから……。
冷静になるんだ、フェイア。
僕はキリア先生と戦ってた……。
ジュリアンと……ウェインと悪魔を止めるために。
キリア先生を止めるために……。
これは夢なんだ……。
そう、夢、幻だ。
兄様はここにはいない……。
これは幻覚……現実じゃない…
。
僕は自分の手に剣を突き立てる。
血が流れていく感触がする。
痛みもある。
この痛みだって幻だ。
現実なんかじゃない。
僕は痛みに耐えながら目を瞑る。
これは幻覚だと心の中で唱え続ける。
不思議と痛みが引いていく。
まぶた越しからチラチラと光を感じる。
僕は目をそっと開けた。
目の前は城の中庭から召喚場に変わっていた。
僕はまばたきをする。
現実に戻ってきたんだ。
僕は周りを見渡した。
僕は小さな魔法陣の中にいた。
向かい側ではジュリアンが、キリア先生に担がれて運ばれている。
ジュリアンも僕と同じような魔法陣の中に落とされた。
ジュリアンは身動き1つしない。
僕はジュリアンに駆け寄ろうとしたが、見えない壁に阻まれた。
キリア先生が僕に気付き、驚いた顔をしている。
それから少し笑うと僕に近付いてきた。
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