第28章―幻影―

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そうだ……これは兄様のはずがないんだ……。 僕はここにはいないんだから……。 冷静になるんだ、フェイア。 僕はキリア先生と戦ってた……。 ジュリアンと……ウェインと悪魔を止めるために。 キリア先生を止めるために……。   これは夢なんだ……。 そう、夢、幻だ。 兄様はここにはいない……。 これは幻覚……現実じゃない… 。 僕は自分の手に剣を突き立てる。 血が流れていく感触がする。 痛みもある。 この痛みだって幻だ。 現実なんかじゃない。 僕は痛みに耐えながら目を瞑る。 これは幻覚だと心の中で唱え続ける。 不思議と痛みが引いていく。 まぶた越しからチラチラと光を感じる。 僕は目をそっと開けた。 目の前は城の中庭から召喚場に変わっていた。 僕はまばたきをする。 現実に戻ってきたんだ。 僕は周りを見渡した。 僕は小さな魔法陣の中にいた。 向かい側ではジュリアンが、キリア先生に担がれて運ばれている。 ジュリアンも僕と同じような魔法陣の中に落とされた。 ジュリアンは身動き1つしない。 僕はジュリアンに駆け寄ろうとしたが、見えない壁に阻まれた。 キリア先生が僕に気付き、驚いた顔をしている。 それから少し笑うと僕に近付いてきた。
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