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「本当に君はすごいね。あの幻影を自力で破ったんだ?」
先生は僕を見下ろしながら言う。
僕は先生を睨みつける。
「貴方は見込みがあるみたいね。ねぇ、フェイア・ウィルヘルム、私と一緒に来ない?
君は将来が有望のようだ。今から私と手を組まない?」
先生はにっこりと笑いながら言った。
「そうしたら彼女は助けてあげるわ。悪くない話でしょ?」
僕はジュリアンに目をやった。
ジュリアンは全く動く気配を見せない。
僕と同じように幻覚を見せられているのだろう。
ジュリアンに近付きたくても近付けない。
僕は拳をつくり、先生に向かって殴る。
だが見えない壁に阻まれて届かなかった。
「先生と一緒に行く気はない! ジュリアンも僕の手で助け出してみせる!」
「交渉決裂だね。じゃあそこで大人しくしていて。血と魔力を絞り尽くしてあげるからさ」
先生はクスリと笑うと巨大な魔法陣に向かって歩いていく。
僕は壁を殴るがビクともしない。
僕はその場に崩れ落ちた。
僕じゃ何も出来ないのか……先生を止めることも……。
ジュリアンを助けることも……。
命をかけて守ると誓ったのに!
僕はうなだれた。
するとポケットから何かが出て来て足に当たる。
僕は足元に目を移す。
それを拾い上げると、あることをひらめいた。
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