第28章―幻影―

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「本当に君はすごいね。あの幻影を自力で破ったんだ?」 先生は僕を見下ろしながら言う。 僕は先生を睨みつける。 「貴方は見込みがあるみたいね。ねぇ、フェイア・ウィルヘルム、私と一緒に来ない? 君は将来が有望のようだ。今から私と手を組まない?」 先生はにっこりと笑いながら言った。 「そうしたら彼女は助けてあげるわ。悪くない話でしょ?」 僕はジュリアンに目をやった。 ジュリアンは全く動く気配を見せない。 僕と同じように幻覚を見せられているのだろう。 ジュリアンに近付きたくても近付けない。 僕は拳をつくり、先生に向かって殴る。 だが見えない壁に阻まれて届かなかった。 「先生と一緒に行く気はない! ジュリアンも僕の手で助け出してみせる!」 「交渉決裂だね。じゃあそこで大人しくしていて。血と魔力を絞り尽くしてあげるからさ」 先生はクスリと笑うと巨大な魔法陣に向かって歩いていく。 僕は壁を殴るがビクともしない。 僕はその場に崩れ落ちた。 僕じゃ何も出来ないのか……先生を止めることも……。 ジュリアンを助けることも……。 命をかけて守ると誓ったのに! 僕はうなだれた。 するとポケットから何かが出て来て足に当たる。 僕は足元に目を移す。 それを拾い上げると、あることをひらめいた。
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