第29章―招かれざる災い―

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「アハハハハハハハ!! さぁ出でよ! ベルゼブル!!」 先生は大声で笑いながら叫ぶ。 僕はジュリアンを助けだそうと魔法壁を叩き続けた。 だが魔法壁はビクともしない。 ジュリアンはどんどん衰弱していく。 僕は涙目になりながら、魔法壁を殴った。 空気が振動する。 魔法陣は赤く輝き、禍々しい雰囲気を放っている。 絶望や恐怖に押しつぶされてしまいそうだ。 全身に鳥肌がたつ。 体も本能的に理解しているようだ。 今から現れるものが危険なものだと。 体が動かなくなっていく。 まるで体力が何かに奪われているような感じだ。 魔法壁を殴る力も弱くなる。 こんなんじゃ破ることなんて到底叶わない。 意識も遠退いていく。 気を失ってはダメだ……。 助けなきゃ……ジュリアンを助けなきゃ……。 僕は自分の顔を殴った。 頭がクラクラするが、さっきよりは意識がはっきりしている。 僕は精一杯考えた。 ジュリアンを助け出す方法を。 もう時間がない。 何か方法は……。 何でもいい、助けなきゃ……。 僕が考えていると、何かが僕の手に触れた。 僕は自分の手を見る。 そこにいたのはユーノだった。 ユーノはボロボロの体だったが、僕の指を力強く掴んでいた。
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