第29章―招かれざる災い―

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「悪魔の王子……ベルゼブルよ、私に力を!! 目の前の者達を排除しろ!」 先生は悪魔に命令する。 だが悪魔はじっと先生を見ているだけだった。 「何をしている! さっさと行け!!」 『何故我が行かなければならない?』 悪魔は地獄の底から響くような声で言った。 先生は突然のことに戸惑っていた。 悪魔は手を伸ばし先生を掴む。 そして地面に叩き付けた。 先生の口から血が溢れる。 『お前は我が主人ではない。たかが人間が我に命令しようなど……片腹痛いわ!』 そう言って悪魔は先生に向かって手をかざす。 すると先生の上下左右、前後に黒い壁が現れた。 『絶望と言う名の苦しみを味わえ』 黒い壁が先生を囲み箱状になる。 そして徐々に箱は縮んでいき……消えた。 召喚場が静まり返る。 悪魔は僕をチラリと見た。 『愚かな人間が……我を使役出来ると思うな。我は悪魔王サタンの子、ベルゼブル……。 自由を手に入れた今……全て破壊尽くしてやろう!』 悪魔ベルゼブルはそう言うと両手に黒い玉を作り出す。 そして天井に玉を放った。 黒い玉は壁を吸収しながら貫通していく。 黒い玉が通ったところからは夜空が見えた。 ベルゼブルは翼を広げ、飛び立とうとする。 僕は悪魔の死体から短剣を抜き取り、ベルゼブルに向かって投げた。
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