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短剣はベルゼブルの足に刺さるが、ベルゼブルは全く反応しない。
このままでは逃げられてしまうっ……。
せめて、先生が来るまでは引き止めておきたいのに……。
僕はうなだれた。
もうダメだと諦めていたら、後ろから声が聞こえた。
「風の精霊ジンよ! 汝の力を我に与えよ! その力を以て行く手を阻みし者共を切り裂け!! ウインドカッター!!」
風の刃が僕を過ぎ、悪魔に切りかかった。
ベルゼブルの服や翼を斬りつける。
僕は振り向いた。
そこにいたのは肩で息をしながら、手を悪魔に向けているウェインだった。
ウェインの左手には僕の剣が握られている。
「フェイア!」
ウェインは僕のところに駆け出した。
ベルゼブルは小さな黒い玉を数発、ウェインに向かって放つ。
ウェインはギリギリで避けながら走りつづけた。
「フェイア! 持ってきたよ! 君の剣を」
ウェインは僕の元に辿り着くと剣を突き出した。
僕はそれを受け取り、鞘から抜く。
そして立ち上がり、悪魔に向き直った。
「ウェイン、援護を頼む。先生達が来るまで……時間を僕達で稼ぐんだ!」
「わかったよ……フェイア!」
ウェインはベルゼブルに両手をかざす。
僕は体に鞭打ちながらベルゼブルに突っ込んでいった。
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