第29章―招かれざる災い―

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「風の精霊ジンよ、天へ昇りし風の力を宿す斧と化しその巨大な刃を振るえ! ストームアックス!」 ウェインが叫ぶと、風が渦巻き巨大な刃となってベルゼブルに襲いかかる。 だがベルゼブルは片手で魔法をかき消した。 僕はその隙に足元に潜り込み、魔力を集中させた。 剣は炎を纏い、僕はベルゼブルに切りかかる。 ベルゼブルは僕の攻撃に気づくと翼を羽ばたかせた。 羽ばたきによって起きた風に僕達は吹き飛ばされる。 そしてそのままベルゼブルは空へと向かい、飛び立ってしまった。 僕は床に思いっきり叩きつけられ、魔法陣のそばに倒れ込んだ。 ウェインは壁にぶつかり、呻きながらうずくまる。 ベルゼブルは飛び立った。 街は混乱しているだろう。 いきなり現れた悪魔を見て。 悪魔も暴れているだろう。 僕にはどうすることも出来ないのだろうか……。 僕は床を殴る。 どうしてこんなにも無力なんだ! 誰一人として守れない! 悔しい……。
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