第29章―招かれざる災い―

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「爆炎の炎の化身よ……全てを焼き尽くす業火の化身よ……火炎の脈動を守りしその力……我が為に貸し与えよ……。 気高き古の力を、魂を、今この場に喚び出さん!!」 魔法陣が光り輝く。 僕の魔力が一気に吸い取られていくのがわかる。 足から力が抜ける。 僕は床に崩れるが、魔法陣に魔力は注ぎ続けた。 魔法陣は更に光を強めた。 魔法陣の中心が盛り上がっていく。 盛り上がった部分はどんどん形を成していく。 天井に伸びたものは巨大な翼を作り上げた。 首が伸び、顔が出来る。 顔から角が伸び、4本の太い足が胴体部分から伸びた。 目が開き赤い瞳が僕を見据える。 ウェインが後ろで小さく悲鳴を上げた。 僕は息を呑み、その瞳を見つめる。 成功した……。 『我を召喚したのは……汝か……』 低く威厳のある声で言い放つ。 僕はうなづくことしか出来なかった。 自分で召喚したとはいえ、それを目の前にするとどうしても体がすくんでしまっていた。 『そんな小さな躯で我を召喚するとは……』 「大切な人達を守るために……力を貸して欲しいんだ!」 僕はそいつの目を見て叫ぶ。 そいつは僕に向かって火を吐いた。 火は魔法陣が作り出した壁によって弾かれる。 束縛の魔法はちゃんと働いてるみたいだ。 『戯けが! 餓鬼が我の力を使うだと! ふざけるな!』 「ふざけてなんかない! いたって真面目だ! だから……協力してくれ!」
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