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「もう! 炎が消えないじゃない!」
ジュリアンは燃え上がる家々に向かって水を放っていた。
だが、努力虚しく、炎は燃え続けている。
「火の精霊が活性化しすぎて……対極の水の精霊が弱ってる……これじゃあ火がおさまらないっ……」
ジュリアンは落胆し、自分の無力さを恨んだ。
「フェイアの手助けも出来なかったのに……こんなことさえ出来ないなんて……」
「今、貴女、フェイアって言った?」
誰かが後ろから話しかける。
ジュリアンは後ろを向いた。
そこにいたのは一人の少女だった。
よくみる踊り子の衣装を身に纏い、蒼く長い髪をなびかせている。
どこかの宿で働いてる子なのかしら?
それよりも、フェイアとこの子は顔見知りなの?
ジュリアンは少女に警戒しつつ、話しかけた。
「そうだけど……」
「貴女、フェイアの知り合いなのね?」
「誰……なの?」
「私もフェイアの……知り合い。こんなことになって迷惑してるから……手伝うわ」
少女は目を閉じ、何かを呟いた。
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