第30章―闇の力炎の力―

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▼△▼△▼△▼△▼△▼ ウェインは街中を走り回りながら叫んでいた。 だが、誰一人としてウェインの声に耳を傾けようとしない。 人々は押し会いへし合いしながら、我先にと逃げようとしていた。 「邪魔だ!」 一人の男性がウェインを突き飛ばした。 ウェインの後ろには崩れた家の瓦礫が牙を向いている。 ウェインは固く目を閉じた。 だがウェインの背中に触れたのは尖った瓦礫の感触じゃなく、柔らかい土の感触だった。 「大丈夫かい?」 聞き覚えのある声が聞こえる。 ウェインは目を開けた。 目の前にはファーが微笑みながら立っている。 「危なかったね。こんな所で何を?」 ファーはウェインに手を差し出し立たせた。 ウェインは訳をファーに説明する。 「そういうことなら任せなさい」 ファーはそう言って、息を深く吸う。 「皆落ち着きなさい! ただ単に逃げ回ったって意味がない!   皆で協力するのよ!」 人々がファーを見た。 ファーは余裕そうな笑みを浮かべる。 「水の魔法が使えるものは消火に回りなさい! 全てが燃える前に! 他の者は被害を出来るだけ抑えるために協力しなさい! 子供は優先的に逃がすこと! 自分だけを考えるな!! 協力して街を守れ!」
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