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『手放したな……これで終わりだ!』
ベルゼブルは剣を構え切りかかる。
左右には逃げられない。
後ろに下がったとしても……あのスピードじゃ下がったって意味がない。
なら……!
僕は体を小さく丸めた。
翼の羽ばたきを小さくする。
ベルゼブルの剣が僕に迫ってくる。
まだだ……まだだ……よし!!
僕は思いっきり翼を羽ばたかせた。
僕の体は回転し、勢いよくベルゼブルに向かっていく。
ベルゼブルは僕の行動に驚き、一瞬戸惑う。
僕の体はベルゼブルの剣を紙一重で避け、奴の懐に潜り込み、爪で引き裂いていく。
ベルゼブルは痛みで顔を歪めると、僕から離れた。
ベルゼブルの腹部からは血が流れ滴っている。
僕は体を起こし、ベルゼブルを睨みつけた。
「まだ……終わってたまるか!!」
ベルゼブルは傷口を押さえながら僕を見た。
目には怒りが浮かんでいる。
『人間ごときが……我の体を傷付けおって……ただじゃすまさ……』
ベルゼブルの言葉は途中で途切れた。
ベルゼブルは急に苦しみだす。
体は歪み、薄くなっていく。
ベルゼブルの下の地面から光が天へと突き上げた。
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