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光の柱は雨雲を裂き、美しい夜空を露わにする。
雨雲が取り払われた先には、赤い月が輝いていた。
突き上げてきた光はベルゼブルを包み込んでいく。
ベルゼブルは苦しみ悶えている。
僕は訳が分からないまま、ベルゼブルを見つめた。
僕の後ろにフェノロサが飛んでくる。
『あれは……一体なんなのだ……?』
「分からない……」
僕はフェノロサに応える。
すると下から声が聞こえた。
「招かれざる悪しき力よ!
天界の陽の輝きを纏い、浄化の光と成りて永久の闇を切り裂き、邪なる力を飲み込み元の無へと帰せ!」
輝きが一層強くなる。
ベルゼブルは月に向かって叫び声をあげた。
「人間め!! 我が自由を奪いおって……許さぬ……絶対に!!」
光は渦を描き、下へと吸い込まれていく。
ベルゼブルの体も光と共に消え去っていった。
光が吸い込まれたところには魔法陣があった。
そう、悪魔が現れ、僕が竜を召喚した魔法陣が。
だがその周りにいたのはキリア先生ではなく、金色の髪をなびかせ黒いローブをはためかせているフロージア様だった。
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